~長年にわたった、合わない入れ歯からはじめ(2021・9)➡合う義歯で(2022・1)終えた~

昔、他医院で高い費用(自費)をかけて作ったが【合わない・噛めない・笑えない】保証期間に何度も調整してもらったようだが最後はもう来ないでくれとさじを投げられた患者さん。初見時は、食べるときしか使っていない、ゆでうどんしか食べていないとおっしゃっていたそんな入れ歯から➡合う義歯に向けての製作を進める。患者さんは慢性的に心も体もボロボロのような状態ながら、ここなら義歯にしてくれそうだと【期待】調べて来院された。患者さんの話を伺っていくと昨今一般の方々にも浸透している、噛み合わせの重要性・体との関係等学ばれていたようで御自身の健康のため【目的】、コロナ禍に残りの人生かけて一念発起で義歯【目標】にしたいと来られた患者さん。これまで悩まれた数十年の時も費用も取り戻すことはできないけれど、結果【義歯】が欲しい患者さんにご提案やコミュニケーションをとりながら、この機会を無駄にして終わらないように、患者さん固有生体に合うように。ある時自分自身も臨床経験で起こることで気づいたので、こつこつと学びに費用・時間をかけて早めに行動してきた。お困りの期間を要した患者さんになる以前から在る、昔から深めの学問の伝統を受け継ぐ臨床家の先生、先達の方々から頂いたやり方・在り方、知恵・技術を余すことなく、チェアサイドでは口腔内以外でサポート。生体の顎模型観察分析、製作現場を離れ立会、生体(顎運動・頭の振り方等)の動きもチェアサイドでもよく観察し、暫定的義歯(以後、プロビショナルデンチャー)から義歯になるまで製作過程での課題・結果も踏まえ、患者さんと歯科医師の要望も取り入れつつ、現実を理解し生体機能を取り入れて良く考え作りこんだ、全部床総義歯製作。咬合崩壊状態から全部床総義歯特有の機能を入れ、粘膜負担の咬合再構成を経年劣化も踏まえ、次のため可能な限り顎堤粘膜(生体)が維持できるようなような形で、製作サイドは慎重にかつ患者さんの身体がついてこれるスピード感で迅速に。旧義歯のように度重なるトラブルにならないように旧義歯の状態含め最後の最後まで何故そうなったのか頭の中で整理しながら粘膜負担の上下左右差のある顎堤・筋肉など全部床総義歯どうしの物理的なコントロールも考え取り入れ、かつ顎位から総合的に考え行動。義歯への最終人工歯配列(歯牙位)をした。ただの製作作業にとどまらず生体の回復を軸に、選んできてくれた患者さんの期待を裏切らないようにかつ義歯まで持っていけるように、患者さんの心と体の間の技術を提供。心技体。患者さんが旧入れ歯使用の体験とは真逆になるように【笑える・噛める・合う】歯科医療の本質・目的、義歯治療で先ずは健口の回復(2,800万円様の)。健康に向かうようにと。

【期間約4ヶ月・初来院時の患者さん御持参額は、天然歯1本分らしい。今回の義歯製作はお困りの患者さんの為に、百聞は一見に如かずのような、義歯に成る様に自ら情報収集。立ち合い回数たぶん10回【毎回、概ね1時間】。基本的には製作のためと振り返りの為の資料集め。世の流れなのか理解していただけるかはわかりませんが、初期に苦情があり先生からの連絡でラボサイドも、患者さんと共に向き合っている時の事と、その後の先生とのやり取り、先ずはお話しをお伺いし、カッコいこと言わずきっちりと行動・実行してから嘘・偽りなく、悪い口コミや医院に対する風評被害にもならないように、制作内容のことの説明責任あるかもしれない(危機感)と、歯科医療・技術側を守る意図等もあり、写真撮影枚数600枚越え、動画1本。義歯になるように今回は、世界的に利用されている数ある自費の義歯製作システムでの義歯治療の共通点を随所に当て込んで製作。自費診療】

作り出す前から現状の把握。製作サイドの歯科技工士として患者さんの課題を解決する姿勢で挑む。模型は勿論のこと、対策を練るために患者さんの生体の全体像、身体(姿勢)・骨格・顔貌など傾向を俯瞰的に観る。作るだけじゃなく、目の前の患者さんを救えるのか、どこまで生体の回復できるか見極められるかが、東洋医学のような義歯治療。患者さんのお話も背景も伺いながら、患者さんの人生を背負っているかのように患者さんの思いに寄り添いながら、患者さんにも頑張ってもらい、チェアサイドでの向き合った時の情報も踏まえ、チェアタイムより考えての製作の作業時間は、はるかにかかる。楽でも簡単でもなく、個人ラボゆえに、今までの教えを思慮深くこつこつと。大量生産・スピード・生産効率(流れ作業や分業など)は良くないが、無歯顎状態の今回お会いした患者さんの一口腔を最後まで考え、行動は手間暇惜しまずよく観察し的を得た形で終わりたい。歯科技工士の制作サイドで変えれるところを変えて医療的価値ある義歯へ。今回はお困りの患者さんとお会いするところから始めた。

◆本ケース、歯科技工士としての仕事に向き合った姿勢・実践、言語化で簡易的な説明ですが立会部分と製作部分。ストーリー、今回の流れ◆

  ①大金を持参。すごい状態で義歯にしたい患者さんが来たとクリニックより連絡いただき、患者さんの概要もお聞きしました。日程調整、日を改めて来院してもらい患者さんとお会いした。色々と質問したら重い口を動かしてやっとの思いで答えてくれた。正直に言いますと、とてもかわいそうと感じた。想像しててた以上に凄い状態、作り変える必要性を感じた。上体は起こしてユニットで足を延ばした状態でお座りの患者さんの顔貌や顎下部、顔色やしゃべり方(発音)など確認。細身・巻肩・円背・頭位の前方傾斜・口呼吸・コンビネーションシンドロームの症状のように見えた。ふらつきはあるが自足歩行は可能。患者さんは、受け口で難しいんでしょ、抜本的に変えてほしいとおっしゃってました。先ずは次回、型取りしますと伝え終了。初見。

  ②口腔内の概形印象と同時に、念の為に歯科技工士がバックヤードで当時ご使用中の入れ歯を複製する為、粘膜面からラボから持参したシリコンで型取り(同じことの繰り返しにならないように、何故このような状態で終わったのかのラボサイドでの考察用・マウント後顎間関係等も観る)

  ③最低限(食べるとき)の使用しかしていなっかった生活習慣だったようでしたので粘膜面にはさほど異常なし。先生と協議し、解剖学的に必要な部分を先生にコンパウンドで足していただき個人トレーの代わりに考察用に作っていたコピーデンチャーを用いて精密印象(咬合はないものとして)

  ④重合用模型製作・規格模型化・模型分析・平均値ロー提製作。自分も立会で居たのでユニットにお座りの患者さんの口から話を伺う。クリニックに苦情の連絡があった事への謝罪を受け、義歯治療の継続・続行を希望されたので、先生に報告。自分自身も患者さんの為に、身が引き締まった。上体は起こしてましたが足を延ばして座るタイプのユニットで、先生がロー提修正しながらクロックワイズローテーションのように見えてた咬合採得。下顎のロー提のみ入れた時の頭位の位置関係・下顎の突き上げのような状態から、上顎とのバイト時、頭位の振り方・位置も上半身の姿勢も変わり、目力も入ったかのような様子を見てました。

  ⑤可及的速やかにプロビショナルデンチャーを作り経過観察で様子をうかがう方針になり、生体機能用補綴システム等は使わず動かしやすい平均値咬合器を用い、上顎咬合平面版を使用、指定の唇側の張り・咬合平面、審美的正中からセーフティーに考え、歯槽頂間線法則にて配列・試適時プロビショナルデンチャー用のロウ義歯の動きが大きかった。(その後、顎位そのままで側切歯までそのままの指示でラボサイドで咬合平面切替・小臼歯追加再配列後意図的にリップサポートを盛る・完成)

  ⑥まだ前歯部の動きが収まらず、前歯部から下顎小臼歯近心ぐらいまで機能を抜いていく咬合調整をしながらセット。テストフード。捕食時の前歯部の突き上げが気になる。咀嚼時鼻から息を吐けている。摂食嚥下確認。ほっぺたに物が残ってるとおしゃっていた。セット後日常生活での経過観察時(約二か月の間)先生には、初期に痛みが出て義歯調整に何度か来院されていたことと、前歯部の辺縁調整で痛みがおさまた事を伺ってました。

ð 8€

  ⑦ファイナル義歯に向けて、3Dプリンター製作のコピーデンチャーで再度印象(この時は立ち合いしてません)輸送到着。プロビショナルデンチャー調整箇所の部分の辺縁ももどる。上顎軟口蓋付近印象材の厚みがある。口腔内で採ったシリコンバイトを噛ました状態をラボサイドで確認するとオープンバイト。プロビショナルデンチャーでの上顎審美的正中から下顎正中が左にシフトしている。プロビショナルデンチャーの歯牙位、顎位も顎間関係も変わっている。仮にこのままのシチュエーションで最先端のミリングデンチャーを作ってしまったらの想像も一応考えた。旧義歯から気になっている前歯部のオープンバイトやプロビショナルデンチャーの前歯部辺縁調整位置。条件は変わりましたが、3Dプリンター製作コピーデンチャーと印象の情報としてありがたかったです。前歯部の配列、上顎顎堤がない部分のコントロールをどうすればいいのか考え、今一度確認の為にゴシックアーチ描記でこの状態の顎運動(前方・側方運動)の可視化したいと、お願いをラボサイドからしました。ゴシックアーチセッティングの前まで作業を進めながら。自分で事情説明するなら良いよと先生に了承得て。

  ⑧クリニックから患者さんに連絡してもらい後日来院していただきました。お久しぶりにお会いし、何回か通ったが調整してもらい何でも食べれている、概ね満足されている。体調の変化等も伺いながら沢山お話ししていただきお元気そうでした。ややふっくらされていて、表情・顔色や姿勢など含め人が変わったかのように。その後、前歯部の調整箇所のことなど説明し、より良き状態にしたいとサンプルをお見せしゴシックアーチの説明と、ご自宅などで姿勢も正しながら口腔周囲筋の運動(チェアサイドで一緒に練習)をしてきてもらいたいとお願いした。

  ⑨再度、重合用模型製作・マウント後シリコンコア製作・模型分析・基礎床製作・シリコンコアでワックスデンチャーに置換・前歯部当たる位に、咬合高径と平面修正(上顎臼歯部)ここまで➆から⑧の同時進行制作。➇で了承を得て、ゴシックアーチ器具設置(下顎6番相当・トランスファー含む)。ここまでの流れを把握して、設定の仕方までは経験年数必要かと思いますが、患者さんが主に下顎(頭の振り含む)を動かして描記してもらうので、術者側の経験値はさほど必要ない。ゴシックアーチ描記の立会。患者さんは練習してきたとおっしゃっていたので、ユニットでゴシック描記の軽く練習をしてから、日常的に使いそうな椅子に移動してもらい、ヒールがあるように見えた靴を脱いでもらいゴシックアーチ描記(描記は小さいが前方運動左に強く流れる)・唾液の確認。理想の位置で決めて、可能な限り良い姿勢で座っていただき、患者さんの頭を手でサポートしてワックスでマックスバイト(バーティカル)。人工歯の選択は旧義歯陶歯を使用しているが、使用者の患者さんにいろいろな観点から提案しながら一緒に考えてもらって決めた。患者さんにあと何回と聞かれたので、上手くいけばあと2回と言いました。

  ➉下顎リマウント、再度シリコンコアでワックスデンチャーに置換。ワックス調整し戻して確認。ゴシックアーチ設定前の審美的正中から下顎正中左に2ミリほどずれていた下顎正中も右に1ミリほどになる。6番相当は、ゴシックアーチセッティング位置とほぼ一致。初見からこれまでの振り返りをしながら、後戻りにならないようにと、状態も変わったので再考察・咬合再構成。原因を探る様に進めてきたここまでのプロセスで、おそらく前医と関係者も苦慮したであろう上顎左の前歯部の課題がリンクして見えてきたので、審美的正中・咬合平面の変更了承確認後、生体機能・口腔周囲筋に調和するように顎間関係・顎堤の形状・顎堤に対するベクトル等、生体に合うように、過剰になり過ぎず・逃がし過ぎずに絶妙に前歯部のアーチを中切歯から左右かえながら、再度Ⅰ歯ずつ総合的に考えて咬合調整しながらニュートラルゾーンでの配列。試適。大開閉口で上は落ちてこないか下は浮き上がってこないか確認。小さくタッピング、いーうーなどで確認、人工歯の早期接触・人工歯の脱離・移動していないかの確認、リップサポート・バッカルサポートの確認、下顎の動き、頭の振り方も確認,勿論患者さんにも。ひたむきに一番大切な噛み合わせ、咬合の安定に注力してきた後、患者さんに念の為、口蓋ひだの有無、高付加価値のカラーリングデンチャー化や金属床のサンプルをお見せしながら説明しましたが、不要とのことでした。自費用レジン2種類から説明して患者さんに選んでもらいました。

  ⑪今回は意図的に形成するポストダムは付与せず、咬耗していった時の為に補強床を入れて自費用床レジン使用、重合。鼻筋RC・口蓋・舌側の流れ、口腔周囲筋、リップサポート・バッカルサポート・上下筋肉の起始部からの流れを今一度修正して研磨、完成。義歯セット(幸いなことに、粘膜内面上下1っか所ずつちょっと削合調整)

長年にわたり悩まれていた患者さんと共に機能回復・義歯治療に参加させていただき感謝申し上げます。自分とお会いするときは、遅刻やキャンセル等もなく来院してくれた患者さん。我々も費用をかけて義歯にしたいとおっしゃていた患者さんと向き合って必要な過程、デジタル化部分以外で、製作時に義歯に向けて創り込む対応ができました。

多くの製造工程を手伝ってくれた、元スタッフにも感謝いたします。

患者さんが、たおやかに過ごされていることを願います。

※費用の面で申しにくいですが、社会保険診療料金(のうち約3割の保険技工料金)では、本ケースのような対面で患者さんと向き合う手厚い対応はできません。日本の歯科医療は、みなさんのおかげで成り立っている社会保険制度の治療と、患者さん個人との契約の元の自費治療がございます。保険制度の範囲内で本ケースのような個別に、ここまでの対応はこちら側の時間・諸経費の持ち出し(下記)が多くなりますので申し訳ございませんが、ご了承ください。

患者さんお一人お一人の状況・状態にもよる義歯治療なので、実際には進めていく中で必要な工程も重複する工程も増えてしまいますので、一概には見積はお出しできません。(システムを使いスムーズに進めれた場合の見積は別・料金表に記載)

別途設けています、各項目の自費製作技工技術料、治療立会費用(高速代等は別途)については加算方式になります。当時(物価上昇前)の適正な1人当たりの歯科医療の生産性(時間軸)を基に料金設定しております。【例・片道約35km、所要時間は変動あり。こちらから自走で小樽迄高速代、片道1、240円・積雪時2026年現在の価格で、仮にプロのドライバーにお願いしてタクシー乗った場合の料金片道、約17,350円】今回のケースは秋から冬にかけて持参・自走。